2017年01月29日

カズオ・イシグロ『私を離さないで』

ある雑誌で、大好きな桐野夏生先生が、

『私を離さないで』が大好きで何度も読み返したとあった

そんなに面白いのなら、と手に取った。

小学校くらいの学園もので、ふ〜んと読み進むと、

子どのたちの話ばかりで親は出てこない。全寮制か?

と思いつつ、読み進むと奇妙な子供たちの日常が

だんだん姿を見せて、現れた異様な世界に愕然。


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2005年の小説で当然、図書館にあった


英国の文学賞『ブッカー賞』を獲った作家らしいけど

はずかしながら、カズオ・イシグロを読んだのは初めて。

ネットでは村上春樹と比べられているが、どちらも凄い想像力。

二つ月がある『1983』の世界も面白かったけど、

リアルで残忍なへールシャム施設の世界にも、のめり込んでしまう。

最後に明らかになる『展覧会』の意味には愕然とした。


私たちの日々の会話も、ほとんど意識しないものの、

『怒ってそう』とか『それは嘘』とか細かい感情の流れがある。

この作品では、人との会話のなかでの、わずかな表情や仕草、

小さな嘘が混じることに凄く敏感に描写されていて、新鮮だった。


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観たい!2時間で収まるのかが疑問

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原作は人間の定義のような気がするけど...


小説が凄く良かったので、この作品なら、映画でもドラマにもなるよな。

って思っていたら、もうすでに、映画も日本のドラマにもなっていた。

映画の方は『ドライヴ』に出ていたかわいらしい女優さんが主人公。

TBSのドラマでは綾瀬はるかが主人公だった。

CSで観たけど、ただの暗い恋愛ドラマになっていて、残念。

posted by リンケン at 08:36| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月09日

コレラの時代『青いドレスの少女』

本が読みたくて、でも読みたい本がない時にたよるのが『すみにえHP』

それ以前の〜 http://park8.wakwak.com/~w22/syoko.html

ここで☆がついている本を選べばほぼ間違いない。


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後半の展開はすごく面白かった

で、選んだのが、本書『青いドレスの少女』

図書館にもなくて、Amazonを検索して購入。結構なお値段でした。

昨年末に購入し、読み終えるのに1ヶ月かかってしまう。

だって、いきなり19世紀のイギリスの港町の、

15歳の障害児の子供をもつ、娼婦のお話なんだもの。


苦しくって、つらくって、巷にはコレラはやっているし、

日本の奥さん方が観たら、不衛生な生活に気絶しそうだし。

19世紀の日本もこれくらい不衛生だったのかなぁ?

ノミを媒体とするペストと違い、コレラは患者の排泄物で感染するそうな。

本当におぞましいけれど、衛生改革はコレラからはじまったとか。


前半戦をだらだらと1ヶ月かけて読んだ後、のめり込んで一気読み!

日本でもコレラがはやったのは1800年代と、戦後すぐだったらしい。

英国でも、1800年代にインドから帰った交易船から広まったのが本書。


パンデミックものだけど、最後にドレスの少女は幸せになる。ほっ!

どぎつかったので、再度すみにえの論評を読みかえすと...

『かなり濃いから、オススメは迎え撃つ覚悟のできる方限定ってことで...』

だった。濃い!?


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コレラと言えば、最高に面白かった。『コレラの時代の愛』


posted by リンケン at 22:38| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月01日

『土の記』 高村薫 巨匠にふさわしい物語

高村薫と言えば、『マークスの山』とか『李歐 』とか、派手なプロットやストーリーで

読ませる、警察小説が得意なミステリー作家だと思っていた。

今回の『土の記』はがらりと作品のテーマというかスタイルが変わっていて驚き。

一人の老人が亡くなった奥さんの事を思い出しながら、養子に入った奥さんの旧家で

農作業を続けて、生きていくというお話。

思い出すのは奥さんとのよい記憶、あまり思い出さないのは奥さんが不倫した現実。

小さな事件は時々起こるけど、これといって大きな展開はない。


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内館牧子の『終わった人』と対照的な作品

一番似ていると思ったのは大好きな『津村紀久子』のスタイルか。

ティッシュペーパーを重ねたような出来事がつくりだす日々の小さな善意の記録が

そこはかとなく嬉しくて、小さな喜びの連続が心を打つ。


ただし、この『土の記』は、きれいなほんわかしたお話ではなく

痴呆の問題や老人の性欲とか、とても生々しい。

それでも見て見ぬふりをしながら生きていかなくてはいけない。

救われるのは、助け合いながら生きる農村集落の人々。


小説スタイルの変化には驚いたけど、一気に読んでしまった。

いろんな雑誌で、巨匠として扱われているようだけど、

年齢とともに気になるテーマも変わったんだと妙に納得した作品だった。


昨年は、あっと驚く施工不良問題に巻き込まれて,とっても忙しい一年だった。
今年はこの問題をさっさと解決して、もっとのんびりしたサラリーマン生活を満喫する予定。
今年もよろしくお願いいたします。

posted by リンケン at 20:55| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする